こんなことがありました!

出来事

待つこと

 私が小学生の時、授業で担任の先生が、

 先生:「じゃ、この問題ゆっくり考えてみましょう。」

 その後、すぐに

 先生「できた人はいますか。」

 私:(ガーン、先生、今ゆっくり考えてみましょうって言ったじゃない、一

懸命考えているのに)

 

 ある小学校の道徳の授業を参観させていただきました。

 授業が進み、自分の考えを発表する場面になりました。

 A先生:「発表、誰かいないかな?」

 何人かの子どもの手が挙がりました。

 A先生:「では、B君、お願いします。」

 B君は、自分の考えを発表していたのですが、急に黙ってしまいました。

一言も、話せなくなってしまったのです。

 私:(A先生は、どうするのだろう?)

 教室中、シーンと静まりかえっています。

 

 その時のA先生は、待ったのです。ずっと。B君が発表するまで。

 

 B君にとっては、きっと途方もなく、長い時間に感じたのではないでしょう

か。ここは、A先生も、B君と勝負です。B君に期待する勝負と思いまし

た。クラスの友だち、だれもがB君の言葉を静かに待っていました。  

 その後、何かを思い出したように、発表したB君。発表後、友だちからの

大きな拍手に包まれました。発表し終わった顔は満足感でいっぱいでし

た。

 あのとき、A先生が、すぐに「誰か分かる人?」、クラスの友だちが「なん

で早く言わないの」「早くやれ、時間が過ぎる」「思ったことをはっきり言え

ばいいんだよ」と言っていたら、B君は、とびっきりの笑顔で席に着けたで

しょうか。B君が真剣に考える姿を最後まで待った友だちも、素晴らしいと

思いました。

 何かとスピーディーさが求められる世の中ですが、「待つこと」も子どもた

ちを成長させると感じました。